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「ねぇ、あなたはどこからきたの?」
突然、天から声がした。
辛うじて残された力で、片目を開けると、木の枝に、少女が座っていた。
薄い桃色の髪をこちらに垂らし、まるで陶器のような白い肌。
年の頃はきっと、片手で少し足りないくらい。
「ねぇ、あなたはそこでなにをしているの?」
木の幹を枕にするように仰向けに寝ていた僕に、
少女はそれほど高くもない枝に腰かけたまま聞いてくる。
どこからやって来たのだろう。
突然出現した得体のしれぬ少女ではあったが、
もはや僕にとって驚くほどではなかった。
僕はどうせ死ぬ。
最期の望みも叶わなかった。
だから、今更その幼子の存在に興味もないし、
なにかを見出すことはしたくもない。
この木の下で、安らかに最期を迎えたいのだ。
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