桜の木の下で

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「聞いてくれるのか?」 もう、誰でもよかった。 きっと明日の朝日を見ることはできない。 そう思っていた。 少女は小さくうなずいた。 僕は、残りの力をすべて振り絞って、少女にすべてを話した。 それはおろかな少年が、家を飛び出して、 路頭に迷い、一人の少女に救われる話。 少年はやがて少女に恋をして、 少女に幸せにすると誓う話。 けれど少年は病に侵されて、 少女に別れの手紙を置いて町を出る話。 会いたくて、でも会えば彼女を不幸にしてしまうから、 一人で最期を迎える決心をした話。
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