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「ほんとうは、だめ」
少女は続ける。
「だけど、しりたいの。」
少女の手のぬくもりが、瞼へと伝わってくる。
地面から風が桜の木を駆け上がるように上空へと吹き上がった。
同時に僕に触れていた少女の、両手と体の感覚も空へ舞い上がったように消える。
驚いて、目を開けると、そこに満開の桜があった。
風が少女の言葉をくりかえす。
なにをつたえたかったの?
僕は右手をあげて、風をつかむように手を握る。
そしてつぶやいた。
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