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自主的には決して思い返したいとはならない、そんな痛ましい出来事の記憶を手繰り寄せながら出た疑問――。
「被害者は二人居たんだけどさ、集会で言ってたのはより目立つ方だけだったの。叶羽はそっちの子に比べれば、少なくともその時はまだマシって感じだったから。でも既に様子はおかしくなってて、今じゃ不登校にまでなってるって訳」
女友達は光也にそう語った。
彼女もまた痛ましい思いから伏せ目がちだったのだが、それが良くなかったのか、他の友達からあらぬ疑いを掛けられてしまう。
「なんか詳しいな。もしかして、お前も千波達を苛めてたとか?」
「ふざけんな馬鹿!」
女友達は間髪入れずに、疑いを掛けた相手に平手打ちを浴びせた。
「ふぶぉ!?」
「私は女子友達の情報網で事情を知ったってだけ! 今度変な事言ったらどうなるか分かってるわね!」
「は、はいぃ!」
安易な浮つきを見せる馬鹿者は、馬鹿者としてやってはいけない事の代償をきっちりと払わされる――。それ自体は度を超えなければ健全な友達付き合いの在りようで、それはこの友達グループに所属する皆が分かってもいた。
それを前提とした上で、光也は一人こんな事を考えていた。
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