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この世の人口がほぼベーターでおさめているこの世界でアルファとオメガが『運命の番』に出逢うという確率はかなり低い。 それでもいつかは出逢えると乙女チックに夢を見る人だっているし、現に私もその中の1人でもあったが、30へ近づくにつれその想いも自然と消えていた。 総理が変わったことでオメガが社会への受け入れが困難やアルファに性奴隷のようなオメガに対する扱いの時代は終わりを告げた。 今ではオメガも他の2種同様、アルファほどではないがベーターと同じようにやっていくとも出来るようになった。だがオメガの間で呼ばれていた『暗闇時代』が長かったせいか、この新時代に戸惑を感じている者も少なくはなかった。 私、神楽中也もあの『暗闇時代』を生きていたが私は特殊なオメガのようであの時代の間、一度も発情期を迎えることもなく無事にあの時代を生き抜くことができた。 ある意味あの頃の私は幸運と呼ぶべきだったのかもしれない。
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