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「つか、そんならくだらないこと考えてる暇があったらとっとと寝ろよ。明日も朝早いんだろ?ガキは歯磨いてさっさっと寝る支度してろ」
コウさんが煙草を灰皿に潰して柵越しにぶっきら棒に言葉を投げる。
此処はとあるマンションのスカイバルコニーの一角。
長い柵を隔てて隣の部屋に住むコウさんがベンチに座りながら仏頂面をしてるのがよく分かる。
「はいはい、分かってるしぃ」
「返事は一回でいい」
「は~~い」
「だから語尾を伸ばすなって」
「はは。コウさんって変なとこでウザイ」
私はクスッと笑ってコウさんから背を向ける。
ああ、今日も一日が終わる。
何もない空っぽの一日が。
私のくだらない一日が今日もまた終わりを告げようとしてる。
「梨央、最後にアレ、頼む」
「あ、うん。そうだったね」
「わりぃな」
「ううん。いいよ」
そして私はゆっくりと喉を鳴らす。
目をつむり、この星空を見上げて口元からリズムを刻んでいく。
唯一私の歌が好きだと言ってくれるあなたに。
真剣に耳を傾けてくれるあなたに。
どうか明日も晴れますように、と。
この空っぽの歌を響かせながら……
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