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「大丈夫ですか?」
駅員の男性がやっと私たちの元へ走ってきた。その三十代くらいの駅員に慌てて事情を話した。誰かがこの人を呼んでくれたのかもしれなかったが、今更来てもらっても警察に通報してしまった後ではありがたさも半減してしまう。でも警察官が来てくれるまでそばにいてもらえれば心強いと思った。
「それで、今お巡りさんを呼びました……」
事情を説明した後にホームの階段から二人の警察官が上がってくるのが見えた。一人は父親ほど年の離れたおじさんの警察官、もう一人は二十代前半くらいの若い人だった。その人は制服姿に違和感を覚えるほどに、まだ私と年が離れていないようにも見えた。
「通報してくれたのは君たちかな?」
「はい……」
おじさん警察官の質問には友人が答えた。
「この子があの人に腕をつかまれて、お金貸してって追いかけられました」
友人が腕を上げて指した先にはホームに寝転がってブツブツとワケのわからない独り言を呟く酔ったおじさんがいる。
駅員に説明した詳しい状況をもう一度警察官にも伝えた。警察官二人は寝転がるおじさんに近づき声をかけた。警察官に驚いたのか奇声をあげ始めて暴れるおじさんを二人はしっかり押さえて立たせた。
「じゃあこの人を交番に連れて行くけど、君たちはどうする? 一緒に来るかい?」
「…………」
おじさん警察官の質問に友人と顔を見合わせた。警察官が来てくれたことに安心してしまい、その後のことは考えていなかった。
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