迷子の猫ちゃんの初恋

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「一緒に行った方がいいですか? 被害届を出すことになるんですか?」 交番に行って調書か何かを書かれて訴えるか訴えないかの難しいことを考えなければいけないのだろうか。親も呼んでまた事情も説明して、学校にも連絡がいくのかもしれない。そう考えると面倒なことになりそうだ。 「君たちがどうしたいかにもよるよ。腕をつかまれたことで気持ち悪くて納得できないなら被害届を出すのもかまわないし、酔っているのだから大目にみようってことなら、このまま私たちがこの人に厳重注意して終わらせることもできる。君たちが選んでくれるかい?」 おじさん警察官が私たちに優しく言った。 「あ!? 被害届だ!? 俺は何もしてねえだろ!!」 酔ったおじさんは突然私と友人に向かって怒鳴った。横に立つおじさん警察官がその酔っぱらいの腕を掴んだ。 「やめなさい!」 「俺は何もしてねえ!! なあ、何もしてねえだろ!?」 酔ったおじさんは更に声を張り上げ、警察官を振り切り私と友人に向かって腕を振り上げた。 「やだっ!!」 殴られる。そう思って目を瞑ったけれど痛みはこなかった。目を開けると若い警察官が私たちの前に盾になるように立っていた。こちらに背中を向けて酔ったおじさんとの間に立ち、左腕を腰の高さまで上げて私たちを庇う体勢になっている。右手でおじさんが振り上げた手を掴んで押さえていた。そうして低い声で「やめなさい」と言い放った。私たちをおじさんから守るように、これ以上怖い思いをしないようにと。
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