迷子の猫ちゃんの初恋

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頭一つ分背の高い若い警察官を後ろから見ると、濃紺色の帽子の下から覗く顔はおじさんを睨みつけている。けれどその表情を怖いとは思わなかった。まだ幼さの残る制服の似合わない顔つきに私は目を奪われた。 おじさん警察官が酔ったおじさんの体を羽交い絞めにして押さえたけれど、そうでなくても先ほどよりも酔ったおじさんの勢いはなくなっていた。若い警察官の威嚇に効果があったのかもしれない。 「それで、どうする? 一緒に交番に来る?」 若い警察官は私たちを振り返ると無表情で問いかけた。 「えっと……」 言葉が出なかった。私も友人も目の前の出来事に圧倒されてしまったから。何とか言葉を搾り出し「その人さえどうにかしてくれたら特にはいいです……」と精一杯伝えた。 本当はもっとこの警察官と話がしたい。警察の仕事を近くで見てみたいと思った。それに、怖い思いをさせられた酔っぱらいに仕返しをしたいとさえ思うくらいだ。 けれど腕をつかまれただけで他に体を触られたわけではない。気持ち悪いけれどこれ以上大事にはしたくなかった。この駅は通学で利用する駅だ。万が一おじさんに顔を覚えられてまた何かされるのも怖い。それに再びホームに人が増えてきて、女子高生と警察官と酔ったおじさんという組み合わせは自然と目立っていた。早く家に帰りたい。 「それじゃあこのままこの人を連れて行くから、君たちは気をつけて帰るんだよ」
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