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若い警察官はさっきとは打って変わって優しい笑顔を向けてくれた。その笑顔にすっかり恐怖心は消えた。
「はい。ありがとうございました」
酔ったおじさんの両腕を警察官二人が掴んで階段を引きずって連れて行った。
私たちはただ立っていただけの駅員さんにもお礼を言うと、ちょうど到着した電車に乗り込んだ。電車のドアが閉まるまで駅員さんにお礼を言い続けて頭を下げた。
動きだした電車の中で友人と一連の出来事を反芻していた。経験豊富であろう警察官よりも、大人の駅員さんよりも、自分たちと大して年も変わらない警察官がとてもかっこよく見えた。ホームにいた周りの大人が誰も助けてくれなかったのに比べ、仕事だとしても盾になって守ってくれた警察官の姿が頭から離れない。通報してから来てくれるまでが早かったし、あの人たちはいつも駅前の交番にいるのだろうか。
学校の最寄り駅のすぐそばにある交番は通学時に前を通ると何となく目を逸らしてしまっていた。交番内の警察官の中にあの人はいつもいたのかもしれない。
「かっこよかったな……」
思わず呟いた私の言葉に友人も頷いた。
また会いたい。あの人ともう一度話がしたい。
◇◇◇◇◇
駅での出来事以降、警察官に会うために駅前交番に通うようになったのは私だけではなかった。
ホームでのことをクラスメートに話すと若い警察官を見てみたいという友人が増え、今まで素通りしていた交番には女子高校生が遊びに行くようになってしまった。
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