くるしくて、息もできない

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今流行っているマッチングアプリで、セフレを見つけることができるとネットで知った。
半信半疑でアプリをダウンロードし、ネットに書かれていたセフレ募集用の隠語をプロフィール欄に載せた。お互いの名前やプライベートを詮索しない。関係は一度きり。ホテルの費用は男が7女が3の割合で払う。待合せ場所での制限時間は五分。お互いに気に入らなければその場を去る。
いずみへのメッセージは5件あった。文面だけで人柄を推し量ることなどできない。いずみは勘でひとりを選び約束を取り付けた。当たりだったかもしれない。いずみは助手席で思う。けれど男の手を見て、いや違う、大外れかもしれないと思い直す。ハンドルを持つ男の右手の甲に、ひどいケロイドがある。皮膚は再生しているものの、でこぼことひきつれた生々しい傷痕。危険な男かもしれない。命だけは助かりますようにといずみは祈る。