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「確かに知らぬ。お主のような甘っちょろい人生など送ってはおらぬ。言っておくが、自らの罪は他の誰も負ってはくれぬぞ」
シーザーはそれ以来何も言わなくなった。そして、シウスもこれ以上は付き合うつもりもなかった。
「連れてゆけ」
伝え、そのまま連れられてゆくシーザーの背中を見る。そして、ファウストに声をかけた。
「後は私で十分じゃ。お前はランバートにフォローでも入れてこい。良いか、フォローだぞ」
「…任せた」
それだけを伝え、ファウストは宿舎へと戻っていく。
「大丈夫でしょうか?」
「ん?」
隣に並んだラウルが、心配そうにファウストの背を見ている。その瞳には、この場にいないランバートも見ているようだ。
「後はなるようにしかならぬ。だが、おそらく双方捨てられぬ。もう、離れる事などできぬよ」
心が真に求める番を引き離せば、心が裂けてしまう。その痛みを、既に二人は知っている。ならばきっと、互いに捨てられはしない。後は互いの心を曝け出し、互いに学ぶ事だ。
遠ざかる背を見つめながら、シウスは重く溜息をついた。
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