帰還

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車は、運転できないため、やけに高い運賃(うんちん)の電車に乗ることにした。 車窓(しゃそう)をみやるともう三月の下旬なのに高く連なる山々の(いただき)には雪が積もっていた。 太陽が大きな山で(さえぎ)って見えないのに空がやけに明るいため別世界にいるような感覚だった。 新村駅(にいむらえき)を降りるとやけに寒い風が吹く。 「さみぃ…」 と、思わずつぶやいてしまった。 東京よりよほど寒い。 駅から歩いて一時間たったら周辺にある一軒家に比べて(はる)かに大きい洋風の豪邸(ごうてい)に足を踏み入れた。 インターホンを押すともう待っていたかのように主人が出てきた。 「あっちから話は聞いている  ついてこい」 と、伝えられ俺が所有(しょゆう)する部屋を紹介してくれた。 その部屋は8畳程度の広い部屋で家具がもうそろっている。 「で、聞きたいんだけど、あなたは何者」 「軍人だ。  あっちから何も言われてないのか?」 「まあね  すぐにこっち来ちゃったし」 「明日もう入学なんだろ?暗くなってるし、早く寝な」 「やっぱりか  こう見えても一様(いちよう)、軍人さんより年上なんだよ?  そういえば軍人さんの名前は?」 翔太だ、とだけいい部屋を出て行った。
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