ランチパンドラボックス2

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 話は俺が中学生の時まで遡る。  中学生とは思春期真っただ中だ。男女がお互いの身体に興味を持ち、時にはカップルとなって物陰でキスやイケナイ事をしていちゃついている。  当時俺は、自分で言うのも烏滸がましいが、イケメンの部類に入っていたのだと思う。女子達とも仲が良く、時には告白されたり、デートにも誘われた。しかし、俺はそれら全てを断った。  もちろん、女の子に興味がなかったわけではない。しかし、あの時俺には既に好きな女の子がいた。  きっと一目惚れだったのだと思う。中学に入って初めてその姿を見たときから、俺はその子の虜だった。噂から、彼女は性格もとても良いらしく、さらには頭も良いと聞いていた。  話を聞く限り、まさに、非の打ち所のない完璧な子だった。けれどそれ故に、男子からの人気は高かった。先程話していた友人曰く、極秘のファンクラブがあったほどに。  だから、接点のない、ましてや他クラスの俺は、中学1年の間、ただただ遠くから見ていることしかできなかった。  けれど、中学2年の時、俺はその子と同じクラスになった。これはお近づきになる千載一遇のチャンスと思い、男女問わずの友人の協力を得て、紆余曲折の末に接点を持ち、ついに友達になることができた  ようやくお互い知り合って、友達になって――俺はより彼女のことが好きになった。  なぜなら、彼女はその容姿に違わず、声も仕草すらも、とても可愛かったのだ。その性格も明るくて、純粋で、可憐。  前まではただ遠くから見ているだけで満足できていたのに、こんな彼女を知ってしまっては、もうそんな距離には戻れなかった。友達という距離すら遠く感じた。もっと近づきたい、彼女を自分のものにしたい――心からそう思った。  彼女が俺の事をどう思っていたのかは、実際のところ分からない。友達になれたとは言っても、それは俺が思っていただけかもしれない。ただ、きっと悪く思われていなかったのだと思う。もしかしたら、普通の友達よりも上だったのかもしれない。  なぜなら、夏休みに入る前に、俺は彼女とデートの約束ができたのだから。
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