ガラス越し

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 翌日パートを休み、さっそく娘の家を訪れた。 「おかあさん、アレルギーが治ったんだよ!」  ところが、ものの5分もしないうちに涙が溢れ、くしゃみが止まらなくなった。 「おかひいわね……」 「なによ、かえって酷くなってるじゃない!」  呆れている娘に事情も告げられず、わたしは這々の体で退散する羽目になった。  どういうことかな……  マンションに戻り、ソファーに身を沈める。カレルがノドを鳴らし、わたしの膝に飛び乗ってきた。昨日から、わたしの同居人になっていたのだ。  やっぱり、アレルギーは治まっている。  ふと思い立ち、壁の複製画を見た。  どこかが違う。  しばらく見ていて気がついた。  そういうことだったのか……  絵の中の猫が13匹……。一匹足りなくなっていたのだ。
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