最終バス

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最終バス

最終バスに乗ったのは、仕事を終えて街をぶらついた後だった。 とても疲れていたが、人気のないプラットフォームに一人佇んでいたら、最終バスらしい乗合自動車がこちらに微かな気配で近ずいて来たので、ただそれに乗り合わせたにすぎなかった。 バスには数人の人がシートに腰掛け乗車していたが、車内はやたらと暗かった。 走り出したバスの窓辺から外の景色を眺めた。 イルミネーションが煌めく街の景色はとても綺麗だったが、賑わいの時を過ぎて、人の少なくなった深夜の街はどこか寂し気で、そんな街から、寂しい風が吹きこんできているように感じた。 やがて大通りに入ると、道を照らすイルミネーションが照り輝くだけで、辺りはしんと静まり返り、他の車すら見かけなくなり、ただバスの走行する音が響くのみとなった。 小さなトンネルを通過した時、何か囁き声が幾重にも重なって聞こえたが、たぶん乗客の誰かがお喋りでもしているんだろうと思った。 バスはそのまま、イルミネーションが照らすだけの暗い道をひたすら走行していった。 途中、よく知っている並木道を通過したが、真夜中ゆえか人は誰もいなかった。     
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