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震える手でカメラを起動させると、桜吹雪の中ほほ笑む彼女が映っている。
100点をもらえる日はもう二度と来ないけれど。
僕は、彼女と過ごした時間を、桜の木の下で彼女と出会えたことを、嬉しく思う。
思いに応えるように、どこからか入り込んできた薄紅色の花びらがそっと僕の頬を撫でた。
『君に逢えて 、よかった』
「僕もだよ。……ありがとう」
小さく囁き、目を閉じた。
僕は、君を忘れないよ。
絶対に忘れはしない。
こんなにも美しく咲く桜が……彼女が、いたことを。
Fin.
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