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「俺がこんなにアピールして、独占欲出してるのに連れなくて。ちょっと自信なくなります。これでも勇気を振り絞ってるのに」
「そんなになのか? お前は友達も多いし、明るいし、顔だっていいんだからすぐに彼女くらいできそうなのにな」
「何が足りないのでしょうね? もっと積極的に迫ってみればいいんでしょうか?」
「積極的って……具体的には?」
「そうですね……例えば……」
少し考えた表情の香坂は、すぐに口元に怪しい笑みを浮かべる。
顔に触れる手、伸び上がった体、触れた唇に俺の思考は止まる。
マジマジと目を見開いたまま、一瞬触れた唇の感触を思いだして心臓が跳ねた。
「キス、とか」
「……え?」
真剣すぎる瞳がとても近くで覗き込む。ドキドキと煩い心臓の音に戸惑う。痺れるように甘く、目眩がするように誘惑される。
「鈍感な貴方に気付いてもらうには、もっと積極的にならなければいけませんか?」
「俺?」
「先輩も、俺の事気にしてるでしょ? 側にいるんですから、気付きます」
気付かれていた。驚いて後ろめたくて隠したいのに、ぶつけられる驚きが大きすぎて反応できない。
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