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真っ暗な夜空から、粉のような雪が降ってくる。
温かい地方に降る雪は、服につくと雨に降られたかのようにしっとりと重みを持って、体温を奪っていく。
月の明かりをさがすけど、どこにも月がない。
月の明かりさえあれば、少しは寂しさがまぎれると思ったのに。
昼間の出来事が、重く心にのしかかって、泣きたくなる。
今なら闇に紛れて泣くことも出来るのに、涙は一滴も出ない。
泣けもしない。
怒れもしない。
嘆くことも出来ない。
救いようのない現実に追い打ちをかけるように、この雪だ。
おまけに月も出ていない。
早く、消えてしまえればいいのに。
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