1145人が本棚に入れています
本棚に追加
/338ページ
涼介くんと出かけた日から3週間が経った。
だけど、彼からは連絡がない。
もちろん、私からもしていない。
あの日の彼の手の温もりと抱擁は、怖いくらい心地が良くて、私はその温もりに完全に身をゆだねて眠りこけてしまった。
目覚めたのは、次の日の朝で、すぐそばに感じていた彼の存在はなく、きっと私が眠ってしまったから家に帰ったのだろう。
あの甘い時間はなんだったんだろう?優しかったり、連絡がなかったり。
涼介くんは、どういうつもりであんなことをしたのだろう?少しは私に好意があったから?そうじゃないと、あんなに優しく抱きしめる?
勘違いしそうになるけど、連絡は来ない。
きっと、気まぐれだったんだろう。
イケメンの気まぐれ。
誰か他にいい人が見つかったんだ。
私には飽きたのかもしれない。
それでいい。
最初からなかったことにすればいい。
仕事は相変わらず膨大にあり、忙しくしていれば余計なことを考えなくて済んだ。
目の前のことを淡々とこなす。
それは、私が身に着けた心の処世術。
頭と手を動かしていれば大抵のことは忘れられる。
それに、本当に付き合うとかになると、困るのは私だ。
恋人同士になるならば、隠していることを言わなければならない。そうじゃないとフェアじゃないから。
仕事はきちんとしよう。
そうすれば、一人でも生きていけるから。
強くならなければ。
最初のコメントを投稿しよう!