#4 花澄

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涼介くんと出かけた日から3週間が経った。 だけど、彼からは連絡がない。 もちろん、私からもしていない。 あの日の彼の手の温もりと抱擁は、怖いくらい心地が良くて、私はその温もりに完全に身をゆだねて眠りこけてしまった。 目覚めたのは、次の日の朝で、すぐそばに感じていた彼の存在はなく、きっと私が眠ってしまったから家に帰ったのだろう。 あの甘い時間はなんだったんだろう?優しかったり、連絡がなかったり。 涼介くんは、どういうつもりであんなことをしたのだろう?少しは私に好意があったから?そうじゃないと、あんなに優しく抱きしめる? 勘違いしそうになるけど、連絡は来ない。 きっと、気まぐれだったんだろう。 イケメンの気まぐれ。 誰か他にいい人が見つかったんだ。 私には飽きたのかもしれない。 それでいい。 最初からなかったことにすればいい。 仕事は相変わらず膨大にあり、忙しくしていれば余計なことを考えなくて済んだ。 目の前のことを淡々とこなす。 それは、私が身に着けた心の処世術。 頭と手を動かしていれば大抵のことは忘れられる。 それに、本当に付き合うとかになると、困るのは私だ。 恋人同士になるならば、隠していることを言わなければならない。そうじゃないとフェアじゃないから。 仕事はきちんとしよう。 そうすれば、一人でも生きていけるから。 強くならなければ。
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