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○同・ステージ手前
ローチ,ステージから落ちるが,受け身を取りながらステージの方を向く。
サイレンの声「無駄よ」
右からサイレンの声がする。右に向き直るローチ。
サイレン「あなたに私は捉えられない」
ローチの後ろにいるサイレン,その表情は苦悶に満ちている。
振り向きざまに左裏拳を飛ばすローチ,裏拳は空を切る。
サイレンの声「許さない,絶対に」
ステージを向くローチ。彼の視界がサイレンを捉えるが,”精神汚染感知”,”警告”
”義体機能不全”の表示。
○同・ステージ
サイレン,眼下のローチを睨みつけている。ローチの体はその場に立ち尽くして
いる。サイレン,嘲るように,
サイレン「どう?体だけ動かなくなる気分は」
○同・ステージ手前
ローチ,ピタリと動かないまま,
ローチ「おまえ,喋りすぎだ」
○同・ステージ
サイレン,大きく目を見開く。
サイレン「減らず口はそこまでだ!」
サイレンの体がステージから消える。
○同・ステージ手前
ローチの頭上へと瞬間移動したサイレン。その目に迫り来るローチの拳が映る。
サイレンの顎にアッパーカットを決めるローチ。サイレンの体が後ろに仰け反る。
落下するサイレンとローチ,サイレンの体が消える。ローチの体が左側へ飛ぶ。
○同・下手側客席
瞬間移動したサイレン。そこへローチの飛び蹴りが襲いかかる。体を反らして回
避するサイレン。ローチの目が仮面越しにサイレンと合う。
○CoCiD社・強制執行部発令室
二人の応酬をメインモニタのライブ映像で見守る一同。
サブモニタにはローチの視界が写し出されている。”魔法被曝:適正範囲”,”自動
追尾”,”冷却度:安定”の表示。画面右下では小さい文字の座標計算ログが高速で
更新されている。
C.I.DA「すごい,瞬間移動に追いついてる」
ヤマキ,腕を組んでいる。量子,メインモニタを見ている。
ヤマキ「奴が3年もの間我々の監視を欺けていたのはこの力があったからか」
量子「ただ,瞬間移動でもファイアウォールを通り抜けることはできないようです」
ヤマキ「おそらく,移動先に情報を伝播させる必要があるんだろう。今の奴はカゴの鳥も
同然だ」
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