第一話:Siren & the Spooky Kids

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ハース「奴の体が持つまでの間だがな。あれだけの加速ができる魔法だ,義体への負  荷は相当だろう」    ハース,メインモニタを見ながら答える。傍らのC.I.DB,ハースを見て,再びメ    インモニタを見る。 C.I.DB「どうやら,その必要もないようじゃがの」    メインモニタでは,会場のあちこちで粉塵が上がっている。 ○ライブ会場・客席中央    粉塵の中,サイレンが瞬間移動でやって来る。サイレン,肩で息をしながら サイレン「あ,あいつは」    サイレンの後ろから,ローチの右手が煙を突き破って現れる。振り向くサイレン,    その顔をローチの右手が捕える。サイレン,両手でローチの手に掴みかかる。煙の    中からローチが現れ,力任せにサイレンの頭を地面に叩き付ける。地割れが起き    る。    ローチ,サイレンに馬乗りになっている。熱気でローチの周りの景色がぼやけてい    る。 ローチ「我が社の強制執行員を殺害したヒューマノイドはどこだ」    ローチの視界,”魔法被曝:危険領域”,”自動追尾解除”,”冷却度:危険領域”の表    示。    ローチに掴まれたサイレンの顔から煙が上がる。肉が焦げる音がしている。ローチ「おまえが我が社に与えた被害は計り知れない。だが,返答によっては処罰の軽減  も考えてやる。匿うだけムダだ」 ○CoCiD社・強制執行部発令室    メインモニタにローチの視界が表示されている。サイレンを押さえつけたまま動い    ていない様子。 量子「なにか喋ってる?」 ヤマキ「今は冷却のために少しでも時間が欲しいんだろう」    ハース,じっとメインモニタを見つめる。C.I.Dの二人は用意された椅子に座って    メインモニタを見ている。 ○ライブ会場・客席中央    顔を掴まれたままのサイレン,くぐもった声で答える。 サイレン「あなたこそ,ずいぶんお喋りになったわね,これだけ戦って気付かなかった?」    ローチ,答えない。突然,激しい炸裂音とともに,ローチの右上腕が消える。反動    で後ろによろけるローチ。サイレン,ローチの下から正面に瞬間移動し,渾身の中    段突きをローチの顔面に放つ。ステージへ吹き飛ぶローチ。    サイレン,ステージに正対し,顔に張り付いたローチの前腕を剥ぎ取る。
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