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○CoCiD社・強制執行部発令室
量子のデスクモニタに表示されたドーム断面の地下構造を,ファイアウォール
が包み込んでいく様子が表示される。
量子,ヘッドセットをはずし,大きく息をつきながら背もたれに寄りかかる。
量子の肩に手をかけるヤマキ。
ヤマキ「よくやった。」
量子「奴を,封じ込めたでしょうか」
量子,心配そうにモニタを眺める。
ヤマキ,腕を組んで
ヤマキ「そうだと祈ろう」
○CoCiD社・外観(昼)
CoCiD本社ビル。周りのビルと比べてひときわ大きい。
○同・役員会議室
だだっ広い会議室。円卓に16人のC.I.Dとハースが座る。
C.I.DC「して,サイレンは逃がしたのだな」
眼鏡をかけた小太りの男C.I.DC(52)が話す。
ハース「ファイアウォールを突破した段階で奴のゴーストは多くの機能を失っている
はずです」
C.I.DD「論点はそこじゃない。我が社のエース,そして切り札まで投入して,それで
も奴が生きていることが問題なんだ」
痩せ気味の男C.I.DD(50)が食い気味に話す。
C.I.DD「責任の所在は,任務を遂行できなかった彼らにあるな」
ハース,何か言おうとするが,隣に座るC.I.DBに制される。
C.I.DB「ヴァンガード・ゼロの義体を没収,ライセンスの剥奪,強制執行員からの除
名,そんなところが妥当じゃろうなぁ」
C.I.DA「今回の一件,ECHOESが一人勝ちって感じだね。僕らは稼ぎ頭を失って,予算
の三割を持ってかれた」
ハース,立ち上がって
ハース「このツケは必ず奴に払わせます。我が社の義体を使ってサイレンを排除します」
C.I.D一同,ハースを見る。
C.I.DD「また彼を使うのか」
C.I.DA「弱りきった悪の親玉と体を無くした英雄,相討ちが一番きれいかもね」
C.I.DA,ハースも見ながら言う。
ハース,わなわなと震える。
C.I.DE「まあ,サイレンを排除できれば,その財産を回収できる。今回の件の負債を払
いきってもおつりがくる額だ。期待しているよ」
優しそうな顔をした男性C.I.DE(56)が言う。
ハース,一礼して会議室を出る。
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