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サイレン「私は負けない。どんなルールにも,どんな圧力にも屈しない!」
エスぺランザの義体がぎこちなく動き出す。ロボットダンスのようだ。義体
が軋む音がする。
サイレン「私は歌い続ける。そして,立ちはだかる壁を壊して見せる。それが私を,
みんなを強くする!」
サイレンの話が終わると同時にエスぺランザの動きも止まる。
凄まじい破裂音とともに,エスぺランザの頭部が義体からはずれ,宙に浮く。
それと同時にステージ前面で紙吹雪が噴射される。曲が始まる。
○CoCiD社・強制執行部発令室
エスぺランザの予期せぬ最期をメインモニタで目撃した一同。
ハース,メインモニタから目を背ける。それを見たヤマキ,考え込みながら
腕を組む。
量子,動揺を隠すように
量子「ヴァンガード・ワンのゴーストの消失を確認・・・」
一同,沈黙。他のオペレータの話し声と計器類の音だけが聞こえる。
突如,量子のモニタに着信の表示。
量子,ヘッドセットで対応にあたる。
量子「こちらブレイン・・・え?」
量子,振り返り,
量子「ヴァンガード・ゼロより通信です」
C.I.DAとC.I.DB,顔を向かい合わせて喜ぶ。ヤマキ,腕を組んで,
ヤマキ「繋げ」
○ライブ会場・正面入口
入り口へと歩くローチ,次第に歓声が大きくなる。
ローチ「ヴァンガード・ゼロよりブレイン。観客を非難させる。全員の非難を確認
次第,ファイアウォールを展開させてくれ,オーバー」
○CoCiD社・強制執行部発令室
量子「了解」
ヤマキ「ヴァンガード・ゼロ,ヴァンガード・ワンの義体を破壊した者がいるはずだ。
そちらも処理してくれ」
ハース,ヤマキからヘッドセットを奪う。
ハース,深呼吸して,
ハース「ローチ」
イヤホンからは歓声が漏れている。
ハース,歯を食いしばる。そして短く息を吸って,
ハース「排除しろ。一人も逃すな」
○ライブ会場・客席後方
ローチ,何も言わず通信を切る。周りには熱気に包まれたファン。全員目を
大きく見開いてステージを見ている。誰も瞬きをしていない。
○ライブ会場・ステージ
サイレンとダンサー6人が曲に合わせて踊る。ステージ中央には頭がないエ
スペランザの義体が立ちつくしている。
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