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「私はあなたが欲しくてたまらない」
これ以上、先に進んでは危険だと警告する声が聞こえる。なのに、薄布の下に湧く性熱が志保の理性を狂わせていく。
――でも堕落は快楽の薬味なのよ。堕落がなければ快楽もみずみずしさも失ってしまうわ。限度をこさぬ快楽なんて、快楽のうちに入るかしら?―― マルキ・ド・サド:著『新ジュスティーヌ抄』より
窪塚の顔が覆いかぶさり、唇が重なった。腰に添えられた手が体を引き寄せ、男と女は溶けあうように密着する。
志保の腕が窪塚の首の後ろに伸び、自ら舌を絡めていった。
今だけは堕落に溺れてしまいたいと思った。
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