希望の音

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今も忘れられない音がある。 既に5年経つが、あの音は心の奥底で巣食っており、事ある毎に僕を刺激する。 死ぬ間際に人生を思い返したときに、あの音は僕の高校生活のハイライトであり、人生そのもののハイライトになるだろう。 あれは、高校の卒業式の後のことだったーー 卒業式が終わり、既に解散となったが、すぐに帰る人は少なく、高校生活を惜しむように卒業生達は校庭に集まっていた。 皆、仲の良かった小集団で話をしたり、写真を撮ったりと思い思いのことをして過ごしていた。 残っていなくてはいけない、ということは勿論無いが、帰ってしまえば全て終わってしまうような気がして、中々帰れない。 校庭に溢れるのは、笑い声、泣き声、嘆声、嬌声と様々であるが、全て『希望の音』だった。 そんな『希望の音』で溢れた校庭は、希望でいっぱいの『池』のようだった。 希望に満ち、活気に溢れ、それでいて平穏な『池』 そこに大きな『岩』が投げ落とされた。
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