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「あと一分だよーーーー!集中ーー」
私は声を張り上げた。
「147、148、149……………」
周りからみんなの声が聞こえる……
今は、大縄大会だ。小学4年生最後の。
トロフィーを、必ず持ち帰るぞ!誰もがそうおもっていた。
長縄大会は、三分を二回跳んだ合計の数で勝敗が決まっていた。大縄と言っても、八の字飛びで、意外に入るのが難しい。
「あっ」
一人引っかかってしまった。
「ドンマイ、ドンマイ。大丈夫だよ。」
みんなが声をかけている。本当に、良いクラスだと思う。
「ピピーーーッ」
一回目が終わった。…………210回!やった!
新記録だ!他の組はゆっくりだったし………!これはもう勝った!
急いで得点板を見に行った。勝ったと分かったわけでもないのに。
「エーーっと………一組は195……うん。大丈夫。2組は………!!!」
そこにあったのは、213という文字。思わず、みんなで硬直した。
そんなにたいしたことないじゃん。だって三回の差だよ?と思うかも知れない。だが、四年間大縄を極めて来た私たちにとっては、大差だった。
それにもっと衝撃だったのは、前回2組がぼろ負けしたという事実だった。
「2組には、絶対的に勝てるっ。俺は、賭けるぜ。」
といっていた男子も、あんぐり口を開けていた。
「負けた……」と女子が言い出した。
「無理ゲーじゃん。」男子も言っている。
「まだ二回目があるよ!大丈夫だよって……」
リーダーの私も言ったが、とても不安だった。
しばらく気持ちがモヤモヤしていたとき、あまり目立たない男子が、こんなことを言い出した。
「ねえ、このまんまでいいの?最後だよ!こんなに良いクラスなのに、このまんま?俺たちの学級目標は、〔どんどんステップアップ〕でしょ?もっと良い記録、出そうよ!」
「………そうだね。うん。そのとーりだよ!」
「がんばろう!」
「絶対的に、勝ってやる!」
みんなの元気がでてきた。よし。私も集中集中。
「よーーーい。ピイイィーーーっ」
「1,2,3,………」
ほんとに、そのときのことは覚えていない。ただ、みんなが一つになって、集中していた。
「残り、さんじゅうびよーう」
「208,209,210!!211………」
一回目を超えた。!!え?え?こんなことが………
「ピピイイィーーーっ」
「243回……!!イエーーーイ。ワアーーーハハハ」
みんな、笑っていた。そして目からの大洪水で、ぐちゃぐちゃだった。
結果は、もちろん優勝。多分この奇跡は、一生忘れない。
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