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「今年も桜がキレイに咲いたな」
春のお花見シーズン。私は一人桜を見ながらあの日の事を思い出していた。
今から10年前私がまだ11歳だった丁度今頃の時期…
私はいつも春になると花見をするのに祖父母の家に遊びに行っていた。祖父母の家がある桜木町は、自然が豊かな場所にあり春は桜、秋には紅葉がキレイだった。
そんな祖父母の家に行ったときのこと私はある一人の男の子に出会った。私よりも少し低い背に白い肌最初は、女の子かと勘違いした。
彼も私と同じく休みの日など遊びに来ているらしくて、すぐに意気投合し、同じ時を過ごした。
彼とは色々な事をした二人で料理をして花見をしたり、夏は虫取に、魚釣り、秋は栗拾いや落ち葉でベットを作ってみたり、冬には雪合戦に雪だるま薄着で遊んで、次の日に二人して風邪をひいたり…
たくさんの事をした。彼といた時間はとても短く感じた。
そして、彼と出会い2年ほどが過ぎた頃、彼は突然私の前から姿を消した。ただ「ごめんね」と書かれたメモを残して…
当時は、ただただ悲しかった。私は彼の事を何も知らなかった。だからどうすることもできなくて、一人で泣いた。
私が彼について知っていたことは、桜木町に住んでいないことだけだった。彼のことは「れー君」と、呼んでいたため名前すら知らなかった。
今思うと彼が私の初恋だったのかもしれない。もう叶うことのない私の初恋。
けして忘れることのない桜色の淡い恋の思い出
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