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その顔はこれでもかというくらいだらしなく緩んでいた。
ほんと、分かりやすくて反吐が出る。
対する彼女は、微笑みを絶やさない。
愛想笑いが得意な人だ。
誰にでも違和感なく同じようにその顔を向けることができる。
この男にも、そう、私にさえ。
そうだ、この笑顔。
さっきまで私に向けていたものと、この男に見せるものと、いったいどこが違うんだろう?
・・・分からない。
急に胸が締め付けられるような気持ちになって、私は何も言わずに保健室から出た。
後ろから、彼らが私を呼び止める声がしたけど、振り返らなかった。
廊下にはまだ残暑が残っていて、振り切るように速足で歩いたけれど、しつこく私の足にまとわりついてきた。
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