23人が本棚に入れています
本棚に追加
/84ページ
屋上intruders
ドンと、立てつけの悪い扉を押し開けたら、光があふれてきた。雲一つなくよく晴れた空は、
夏のそれよりもはるかに薄い青。冬の昼下がりの弱い水色をしていた。
風はやはり冷たい。1月ともなればそれは当然で、私は制服の上着からはみ出たカ-ディガンの裾で冷えていく鼻先を覆った。
扉をきちんと閉めてその場に座る。それから片手に持っていたコンビニの袋から、手際よくほかほかと湯気を発する白くて丸いものを取り出した。早く食べないと冷めてしまう。
私がその、好物のピザまんにかぶりつこうとした時だった。
「今お昼?」
「ひぃっ!!」
傍らから急に声が聞こえてきて、私はあやうくピザまんを取り落しそうになる。
スカ-トから転げ落ちかけたピザまんを慌てて救助。
そのせいで滑らかで美しいピザまんのフォルムに私の指の跡がくっきりついてしまった。
サイアク。
「肉まんギリギリセ-フね。」
「肉まんじゃない。ピザまん。」
「そうなんだ。邪道だね。」
謎の女子Aは言葉とは裏腹に、とても愛らしく人当たり良く微笑みかけてきた。
なんなだこいつは。
「うっさいな。邪道だろうと王道だろうと、うまいもんはうまいんだからそれでいいだろ」
最初のコメントを投稿しよう!