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僕は、大学に6年通って、大学を卒業してそのまま大学病院に就職した。
僕は、学生アパートを出て同じ町内の別のアパートに引っ越しをした。
アパートは風呂付だったけれど、銭湯の心地良さを知っている僕は、相変わらず銭湯に通っていた。
アパートの風呂は、仕事で遅くなったときに使っていた。
銭湯では、番台のおばちゃんや野呂さんと会話を交わすのが楽しみだった。
ある日、銭湯で野呂さんを見かけない日が続いて、心配になった僕は帰り際に番台のおばちゃんに聞いてみた。
「おばちゃん、野呂さん最近見かけないんだけど、何か知ってる?」
「あぁ、若林君がよく話をしている方でしょう!
野呂さん最近体調悪くしたみたいで、入院したと奥様から聞きましたよ!」
「そうなんだ!」
「若林君も、無理しちゃいけないよ!
これ持っていって!」
おばちゃんが笑顔で、みかんを1つ手渡してくれた。
「おばちゃん、ありがとう!」
おばちゃんの何気ない小さな気遣いが、僕はとても嬉しかった。
僕は、おばちゃんにお礼を言って銭湯を出た。
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