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僕が朝、大学病院に出勤して夜勤の医師看護師からの引き継ぎ会議に出席していると、今日新しい患者さんが入院するという報告があった。
名前は、『野呂』さんで75歳ということだった。
僕は、いつも銭湯で会う野呂さんかもしれないと思いながら報告を聞いていた。
午後になると介護タクシーで、車椅子で病院に運び込まれた患者さんが入院した。
僕は、その患者さんの病室を見に行くと、ベットの上にはいつも銭湯で話をしていた野呂さんが横になっていた。
「野呂さん!」
僕が声をかけると、野呂さんが笑顔で僕に話しかけてくれた。
「この病院に転院することになって、もしかすると若林君にまた会えるかもしれないと思っていたよ!」
「銭湯でお会いできなくなっていたので、心配していました。
番台のおばちゃんから入院したということは聞いてました。」
「若林君がいてくれる病院なら安心だよ!」
「野呂さんの病気については、まだ詳しく主治医から聞いていませんが、困ったことがあったら何でも言ってください。」
「あぁ、助かるよ!
よろしくお願いします。」
僕には、野呂さんは少し痩せてやつれたように見えた。
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