二人で見る花火

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いかにもお父さんが徘徊していそうなポイントだ。 私は慌ててキョロキョロと辺りを確認した。 「すみれちゃん、誰か知り合い?」 「えっ? べつに……」 「タクじゃん」 ぎゃっと心の中で叫んでしまった。 誤魔化そうとしたそばから、あまり聞きたくない低音ボイスが聞こえたから。 しかもさっきみた悪そうな集団の方からだ。 「おー。レントもう来てたん? 今年は暴れんなよー」 振り返るとレントくんが集団から離れてこっちに歩いてくるところだった。 桐谷くんはいつも通りって感じで挨拶してたけど、私は「暴れるな」を聞いた途端、冷や汗がいっぱい出てきた。 今年はって……去年は暴れてたってこと!? やっぱりレントくんって問題児なの!? 「暴れてねーって。去年だって絡んできたのアッチだし。てかこの間の子じゃん。すみれだっけ」 「こ、こんにちは」 私の名前なんてよく覚えてたな……と思いながら、軽く頭を下げる。 「浴衣じゃん。張り切ってんね」 「は、はは……」 張り切ってるとか、その通りだけど言わないでー! 心の中で叫びながら、ポリポリと赤い頬をかいて誤魔化した。 やっぱり苦手だよ、レントくん。色んな意味で。
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