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「タク! 久しぶりじゃん。こっち来いよ」
「律先輩! めっちゃ久々っすねー」
レントくんが出てきた集団の中から桐谷くんを呼ぶ声が聞こえて、桐谷くんはそっち方面へ歩いて行ってしまった。
私としては一刻も早くこの集団から離れたいんだけど。
「タクとデート? おまえら付き合ってんの?」
「へ? い、いやまさか」
必然的にレントくんと二人で立っている状況になってしまい、ますます周りの目が気になって落ち着かない。
それなのにレントくんはさらに居心地の悪くなるような話題をふってくる。
「張り切って浴衣着てんのに?」
「そ、それは関係ないと思います……っ!」
二回も『張り切ってる』とからかわれてさすがにカチンときた私が、顔を上げて反論すると、レントくんは眉を少し上げて驚いた表情をして見せた。
「へえ。怒ったりもするんだ?」
「……そういうこと言っちゃいけないと思います」
からかわれてる。
遊ばれてるよ、私。
ふつふつと悔しい気持ちがこみあげてきて、気がつけばぼそぼそと反論を口にしていた。
「そういうことって?」
「張り切ってる相手に張り切ってるとか……」
「ぷっ、やっぱ張り切ってんじゃん」
「……」
「あ、ゴメン。泣くなよ? タクにぶっとばされっから」
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