二人で見る花火

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正直、レントくんが謝ってくれるとか意外だった。 いつのまにか問題児=ひどい人間だと刷りこまれてしまっていたらしい。 恥ずかしいやら悔しいやらで涙目になってる目をどう誤魔化そうかと唇を噛んでいると、レントくんは困ったように眉根を寄せた後、チラッとそばの屋台に目をやった。 「あれ」 「え?」 「買ってやるから。泣くなよ?」 レントくんが見てるのはわたあめの屋台で、私がポカンとしているうちにレントくんは屋台の方へダルそうに歩いて行ってしまった。 わたあめって……私子どもじゃないし。 甘いもの買い与えられたぐらいでご機嫌取られないし。 ……ってそんなこと考えてる場合じゃなくて! レントくんに買ってもらう理由なんてないってば。 「ま、待って」 遅れること数秒、小走りにレントくんを追いかけてわたあめの屋台に到着した時にはすでにレントくんが千円札を屋台のおじさんに手渡しているところだった。 「あああああ」 「何? ネコがよかったとかワガママ言うなよ?」 「ちが……っ」 押しつけられるように手渡された黄色の袋にはクマのキャラクターが描かれていた。 ちなみに『ネコ』はキティちゃんだ。 キティちゃんを素で『ネコ』って言う人、初めて見たよ……。
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