二人で見る花火

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「どどどどうしよう!?」 思わず足を止めてレントくんの腕を両手で強く引く。 レントくんは驚いたように足を止めて振り返った。 「は?」 「き、桐谷くん補導されちゃうの……!?」 『お父さんに』。 言えなかったけど、私の頭の中では勝手にお父さんが桐谷くんの首ねっこを押さえる姿が浮かんでいて、勝手に私は涙目になった。 「なんで祭りに来るだけで補導されんだよ。小学生か俺らは」 レントくんはよっぽど呆れたのか、わざわざ盛大なため息を吐いて見せた。 それで私は少し冷静に戻った。 そうだった。 べつにお祭りに来ること自体が悪いことじゃない。 「私と」いるところを「お父さんに」見られることが最悪なんだった。 「なんだ……」 じゃあ桐谷くんと一緒じゃなかったのは不幸中の幸いだったのかもしれない。 そこにいた教師がお父さんかどうかは分からないけれど、首の皮一枚で命が繋がった気分だった。 まだ桐谷くんとの時間を継続できる。 「じゃ、じゃあレントくんが逃げる必要もなかったんじゃ……」 私には必要があったわけだけども。 結果的にはレントくんが私を連れて行ってくれて、とても助かったのだけど。
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