花火の終わりに

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男のプライド? みたいなのを傷つけちゃったんだろうか。 「すみれちゃん?」 「あ、ごめんね……。私慣れてないから分からなくて……」 「分からないって?」 「失礼な態度とか取ってたら……ごめんなさい」 おどおどと謝ると、桐谷くんはちょっと困ったように「ごめん。ガキくさいこと言って」と笑った。 だけど持ってるわたあめは返してくれないところを見ると、結構本気で気にしていたのかもしれない。 「桐谷くんでもそんなこと言うんだ……」 「だーかーら、ゴメンって。心狭くて」 ボソッと言ったのはつい心の声が出ちゃっただけなんだけど、桐谷くんは冗談っぽく反応してくれた。 「ううん。安心する」 「え?」 「桐谷くんも普通の人なんだなって思って、安心する」 桐谷くんは人気者で、女の子は皆彼みたいな人のことは好きだと思う。 だから常にそういう立場にいる桐谷くんは、もっと女の子に対して余裕な気持ちを持っていると勝手に思っていた。 だから私がレントくんに買ってもらったわたあめのことを気にしてくれたのが、意外だし、嬉しいと思ってしまった。 桐谷くんを身近に感じることができて。
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