花火の終わりに

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「ここからでも結構きれいに見えるね」 桐谷くんがジュースを持ってきてブロックに座ったので、私も再びブロックに座る感じになってしまった。 思い切り道路沿いで花火観賞に適してる場所とは言い難いけれど、私はさっきからずっとここで花火を見ている。 だけどやっと、桐谷くんと。 そう思うとドキドキが止まらなくなる。 さっき少しだけ一緒にいて緊張が緩和されかけたところだったのに、また最初からやり直しだ。 恥ずかしさを誤魔化すため、持っていたわたあめの袋を抱きしめるようにして気持ちを落ち着かせた。 だけど。 「それレントに買ってもらったの?」 「え? ……う、うん」 なんだかすっごく険のある桐谷くんの声に、ビクッとして彼の方を見た。 表情はべつに怒っていない。普通に会話してる時の顔。 「アイツそんなことするんだ?」 「えと……お詫び? みたいな?」 だけどやっぱり違う声の調子に、私は勝手におどおどと目が泳ぎ出す。 そんなことするんだって言われても。 普段のレントくんなんて知らないんだけどなぁ……。 「お詫び? なんかされたの?」 「や、べつにそういうわけじゃないと思うけど……」 『張り切ってる』って言われただけです、なんて。 本人を目の前に言えるわけないよー!
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