加速

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結局私はレントくんのスウェットを借りて、こそこそとコインランドリーを回した。 そこで制服が乾くまで待とうと思ったけれど、男の子のスウェットを着ている自分が恥ずかしくなって結局レントくんの家に戻ってしまった。 コインランドリーには人気(ひとけ)はなかったけれど、勝手に自分が恥ずかしくなっただけだ。 レントくんの家は共働きだからか家族は不在のようだった。 その話を聞いてからはレントくんの部屋じゃなくて玄関で待たせてもらった。 そんな私の失礼ともいえる一連の行動をレントくんは責めるわけでもなく、「好きにすれば」と私の存在に興味がないようだった。 そんなにびっしょり濡れたわけじゃないから10分も乾燥にかければ十分じゃないかな。 ポケットからケータイを取り出して時間とにらめっこする。 靴は履いたまま玄関に座ってスタンバイ。 ごめんね、レントくん。レントくんの家が嫌なわけじゃ、決してないのだけれど。 そろそろ出ようかな……と思うタイミングでケータイが着信を告げる。 相手は桐谷くんだった。 「もしもし」 『すみれちゃん? 今、家?』 「ち、違う……」 『もしかして公園で待ってる? 今から行くから』
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