加速

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外に出るともう雨は止んでいた。 だけど空はどんよりと曇ったままだ。 そんな重たい空を見ながら、私は桐谷くんに手を引かれて小道を通りまで歩いた。 通りに出ると目の前には公園がある。 雨に濡れてしずくを落としている木の下に、私の自転車がポツンと置かれているのが見えた。 あとちょっと待ってれば雨、やんだのになあ……。 びしょぬれ姿のままじゃ桐谷くんに会えないと思っていたけれど、そんなの今だってたいして変わらない気がする。 そんなことを考えながらも私の腕はグイグイと引かれて、公園の前を通り過ぎ、あっという間に桐谷くんの家へと着いてしまった。 レントくんと桐谷くんはホントにご近所さんなんだな……。 『タツオくん』の家もこの近くにあるのかなと思うとまた胸がズキンと痛んだ。 無言のままだった桐谷くんもさすがに玄関まで入った時には「靴、脱いで」と手を離した。 今さら逃げるなんて選択肢もないので、大人しく靴を脱いで「おじゃまします」と言って、家に上がらせてもらった。 桐谷くんの部屋に通してもらうと、そこは前来た時と変わっていなくて、またこの場所に来られたことを嬉しく思う。 もちろん今の状況が決して良いものじゃないことぐらい、忘れてはいないけど。
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