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「俺、こないだ言ってた岩ヤンの娘と会っちゃったかも」
レントの家でマンガを読んでる時に独り言のように告げた。
レントと二人だけの時を狙ったのは、ツレの中でもコイツが一番付き合い長くて信用できるから。
そして俺と同じくらいタツオくん信者であるレントが、果たしてそれを聞いた時にどういう反応を示すのか、内心俺は気になって仕方がなかった。
だけどレントはベッドにうつぶせ状態でマンガを読んだまま「ふーん」と言っただけだった。
反応薄っ。
「攫う」なんて言われても困るけど、ここまで興味なしだと気にしてる俺がバカみてえじゃん。
「どこで?」
「家の前で」
相変わらずこっちを振り返ることすらしないまま質問してくるレントに、若干不機嫌になりながらも答えた。
わざと分からないように答えたのに、相変わらず反応しないレントはしばらく間を空けてから、どうでもよさそうに訊いてきた。
「で?」
「で? って?」
「似てんの? ゴツいの?」
ああ……って興味あるのそっちかよっ。
もっと出会った過程とか訊くこと色々あるだろうが!
まあ……可愛いかどうかは気になるところだよな。
俺は記憶の中のすみれちゃんを思い浮かべながら言った。
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