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幸せな疲労感
バタバタと妻の晴香が慌ただしくしているのを、優斗はソファーに寝転がりながら見ていた。
何をやってんだか……次男の颯がスマホを触りに来るのを払いのけると、テレビを見ていた長男に尋ねた。
「なあ、陸。ママはなんであんなにバタバタしてんだ?」
「え? あーもう五時じゃん。おかあさーん! もう五時だよ? 出なくて大丈夫?」
「えーホント!? 大変!!」
リビングを覗き込むと、晴香は早口で言う。
「ご飯はそこにカレー作ってあるから食べてね! お風呂も沸かしてあるし、準備も全部出来てるから!」
「……え、ちょっと待って? お前今から出かけるの? こいつらは?」
晴香の言葉に慌てて身体を起こすと、焦った様子で優斗は子どもたちを指差しながら言う。そんな優斗に――晴香と陸が冷たい視線を向ける。
「おかあさん、今日は同窓会って前から言ってたじゃん」
「同窓、会……?」
そういえば、そんな話を聞いたような気がする……チラッとカレンダーに視線を向けると、大きな文字で“母、同窓会”と書かれていた。
「え、でもそんな遅くならないだろ? 風呂ぐらい帰ってから……」
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