季節が過ぎても

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季節が過ぎても

 神様には、きっと嫌われている――。  満開の桜の下を、家族や恋人と幸せそうな顔で歩く人々と、対象的に辛気くさい顔をした僕がいる現状が、そう想わせる。  あれから、どれ程の季節が巡ったとしても、僕が君を忘れる事はなかった。  春は、君の好きな桜を見て思い出す。  夏は、君と見た花火を見て思い出す。  秋は、君と行った山に行って思い出す。  そして、冬は君が隣に居ない事で思い出す。  冬の寒さに奪われる体温を、暖めてくれる君の手が、もう僕と結ばれる事はないと想うと、君を奪った冬が僕は嫌いだ。  それでも、今も忘れない――。  どの季節にも、君との思い出があるから――。
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