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森から出ると、辺りはすっかり暗くなっていた。
「不味いな~ ずいぶんと遅くなってしまったよ」
俺はメブキ背負いながら星空を眺める。すると先程まで恐がっていたが、今はすっかり落ち着いる優芽が口元に指をあてながら答えた。
「ん~っ、こう言う時はやっぱり、ばっちゃ……ちぃ婆さんの家でしょ~」
それを聞くと、カイと香苗が無言で頷く。
「そうだろうなぁ~」
星空を見上げたままそう答えると、一同はゆっくり歩き始めた。
ちぃ婆さんとは、この田舎町に建てられた広い和風建築の家に住む心優しいおばあちゃんである。
子供が大好きで自分の敷地を子供の遊び場として提供している。また、お菓子づくりも得意なので、遊びに来た子供たちに食べさせている。
今の世代の親御さん達も子供の頃お世話にになっていた為、おばあちゃんには絶対の信頼を寄せている。
つまりその場所は俺達のたまり場でもあり、ちぃ婆さんはこの田舎町の名物のような人物なのだ。
ちぃ婆さんの家に向かって歩いていると、優芽が突然と立ち止まった。
「どうした優芽……? ウンコか?」
「ちょちょっ……! あんた女の子に向かってなんてことを! 本当にデリカシーがないんだから拓也は!」
爆弾発言だったのか、優芽の隣では香苗があわあわと両目を広げ慌てふためいている。
このままだと話が進まなくなると思ったのかカイが横から入ってきた。
「で、本当のこと、どうしたの優芽?」
「ん……? ああ! 今更だけどさ、この町って所々に変なオブジェクトあったりするな~ って思ってね~」
優芽が指差した先には、人が球体を抱き締めているような謎の銅像があった。
「あの球体、さっきの光の玉に見えなくもない?」
「そうだな、でも今の俺たちには何もわからないだろ」
そう言うと、優芽はゆっくりと頷いた。
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