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今までおねーちゃんから、聞いていた彼氏の話は
薫ちゃんのことじゃ、なかった。
一緒に遊園地に行ったのも、
温泉旅行に行ったのも
…
薫ちゃんとじゃあ、なかったんだ。
なんだか力が抜けて、ぼんやりする。
ガックリ肩を落とした私の手を引いて
薫ちゃんは帰る途中のビルの中で、アクセサリーの店に寄り、
私の右手を掴んでおねーさんを呼んで
右手に薬指に細い金色の指輪を選び、自分も同じものを買った。
抵抗する気も起きない。
「誕生日プレゼント。
お守りがわり。
必要な時のために肌身離さず、
ずっと付けとけ。」
とこれもまたお揃いのホワイトゴールドの長めのネックレスに指輪を通して私と自分の首に付けた。
薫ちゃんも私も指輪ができる職業じゃない。
医者や看護師はこうやって身につけておくんだ。とにこりと笑って、
「これで安心だ。」と言った。
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