家事代行的ルームシェア。

12/12
2153人が本棚に入れています
本棚に追加
/122ページ
翌日、私はよく眠れずに早く起き出すと、 薫ちゃんも部屋着に着替えて、リビングでコーヒーを飲んでいた。 「散歩に行こうか?」と私の顔を見たので私はうなずいて、用意をし、 夜が明けたばかりで、朝の光がキラキラとする海沿いを一緒に歩いた。 「俺が美冬と付き合ってたほうがよかった?」 「うーん。恋人の妹だから、私は薫ちゃんにとって特別だって思ってた。」 「てまりは俺にとって特別だよ。 だから、ルームシェアなんだろ。」と薫ちゃんは私の手を握った。 「なんで?」 「ケーキを美味そうに食ってたり、 忙しく笑ったり泣いたりして、 頑張ってるてまりをそばで見ているのは楽しい。」 なるほど。 「成長を見るのが楽しい的な?」と聞くと、 「まあ、ちょっと違うけど、今はそれでいい。 俺はてまりとルームシェアがしたい。って思ってそう言ったんだよ。 てまりは俺を利用して、一人前のパティシエになればいい。」とくすんと笑った。 「『育ゲー』(育成ゲーム)的ルームシェア。」と私がいうと、 薫ちゃんはクッと喉を鳴らして、 「腹減った。サンドイッチ買って戻ろう。」とコンビニに向かった。 こうして、 恋人の妹としてじゃない、 薫ちゃんと私の ルームシェアが始まった。
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!