育成ゲーム的ルームシェア。

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夏になった。 薫ちゃんと私は相変わらず仲良く生活している。 ちょっとした兄妹のようだ。 夕飯に麻婆ナスを食べながら、 私は最近店での噂について 確認することにする。 「ねえ、薫ちゃん、当直明けにうち店のカフェに来てる?」と聞くと、 「別にいいだろ。ケーキ食いに行ったって。」とクッと喉を鳴らして笑った。 やっぱり。 「最近、午後にスーツのイケメンが来てるって噂になってるけど…」と言うと、 「授業参観みたいなもんだろ。別にガラス越しにチビスケをチラッと見るだけだし。」 うちの店はケーキの並んだショーケースの後ろが厨房で 上半分がガラス張りの仕切りになっているから、 ケーキを作っているところが見えるようになっているのだ。 まあ、私は隅っこで働いてるんだけどね。 「困るんですけど。」 「俺がカッコイイからか?」 「そうじゃなくて!誰かにみつかったら、なんて説明したらイイかわからない。」 「一緒に暮らしてる。っていえば?」 バカなの? 「育ゲーされてますって?!」 「そうだったな。」と薫ちゃんはクスクス笑う。 「とにかく、あんまり来ないで。」と怒ると、 「おまえ、店の売り上げを下げるつもりか? 俺目当てに最近カフェは若い女が多いって思うけど。」 「自意識過剰!!」と怒ると、ゲラゲラ笑って食器をシンクに片付け始める。 わかったのかなあ。 薫ちゃんの事がカッコイイと、お店で噂になっているのが ちょっと嫌だって思っちゃうんだろうか
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