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翌朝、食事をしながら、
「今日から、日勤の時は朝送って行く。」と私の顔を見た。
「自転車だし、薫ちゃんの方が出かけるのいつも遅いじゃん。」
「自転車は車に乗せればいいだろ。早く出かけても俺は困らない。」
「そうなの?」
「まあ、チビスケの仕事先の奴らをきっちり牽制しておきたい。」
「へ?」
「チビスケには手を出すな。って俺の意思表示。」
「い、いや、そんなことされても困るけど…」
「もう、キスもしたし、チビスケの予約は入ってるはずだ。」
「あ、あれは…薫ちゃんが…」
「チビスケはキスから逃げなかった。有効だろ。」
…ええー?
私は顔を赤くして、目玉焼きを突く、
「早くメシを食え。遅刻するぞ。」と薫ちゃんは笑ってトーストを齧った。
その日から薫ちゃんは朝、高級な外車で、私を店まで送ってくれるようになった。
ご丁寧にスタッフ用の駐車場の前で自転車も車から降ろしてくれる。
もちろん出勤するスタッフにもきちんと挨拶し、
自転車のハンドルを握って両手のふさがった私の頭をポンポンと撫でて、
「じゃーな。ちゃんと働けよ。」と微笑んで車に乗り込む。
私は注目の的だ。
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