親友

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あの日々を振り返ると、君に「ごめんね」と言いたくて、でも気持ちをなかったことにはしたくなくて、やっぱり君の本心を知るのは怖くて。今でも弱虫な私は、君への想いの名前をまだ見つけかねています。 君は、勉強がよくできて、リーダーシップがあって、サッカーをやっていて、強くて優しくて、誰よりもかっこいい人だった。だから私は君が誰よりも好きで、尊敬していて、少し、若さゆえに気持ちが先走りすぎたのかな。 バレンタインのあの日、私は冗談っぽく笑いながら「本命だよ!」って君にチョコを渡したね。普段から好きだ好きだと言っていたから、きっと誤魔化せていたと思います。親友と恋愛の境目で揺らいでいた、私の「好き」は。 君はそういうことで差別をするような人じゃない、って分かってた。分かってたけど、この関係が崩れるのは怖くて、「親友」という立ち位置は残酷なほど甘く安定していたから。 いけない妄想をする夜もあった、それでも、そんな私を強く引き止めたのは、尊敬してやまない君への「憧れ」だったのかもしれません。 今ではそれぞれ別の道へ進んで、何てことはないありふれた日常をお互いに送っているけれど、もし許されるなら、いつかその唇に触れさせてください。親友として。
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