暗黒物質が錬成されるまで

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彼の家に通うようになって何度目か、彼がこんなことを言い出した。 「なんか料理って楽しそう。俺もやりたい。」 おかわりー、と皿をこちらに向けながら、彼はそう言った。 なんでも、私が楽しそうに料理をしているように見えるのだと言う。 …そうかな、結構面倒くさいなと思う事もあったけど。 しかし、世の中には「旦那が家事を手伝わない」と嘆く奥様がいるくらいだ、これは良い傾向なのでは?と私は思った。 「じゃあ明日の朝ご飯、一緒に作ってみようか?」 と私がいうと、彼は「うん。」と答えた。 次の日の朝、真っ黒な目玉焼きがテーブルに並べられたが、まるで新婚のような気持ちになったので、それはそれで良しとした。
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